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Vol.160
言葉のつよさ
稗田智子さん
 独身の頃、私は結婚して、子どもをもつっていうことが想像できないほど、自分が話す内容っていうのは、ツラい、暗い話しかなかったんです。けれども、今、主人と出会って、結婚して……、主人の母と二世帯っていうカタチで同居させてもらっています。

 お嫁に来た時はこの家のことが分からないので、“稗田の家っていうのはどういう家かな”と思って、すっごく謙虚にしおらしい嫁でやってきたんです。だけど、子どもが生まれ、子どもが2人、3人と増えていくにつれ、“母は強し”とよく言いますけど、3人の子どもを育てるには、やっぱり、強くないと育てられなくて、どんどん強くなってきたんです。

 強い母になったと同時に、ものすごい強い嫁にもなりました。主人の父が亡くなって、7年が過ぎたんですが、主人の母だけに(おばあちゃんだけに)なってからだと、話し相手がいないので私としゃべるんです。

 私が子どもに対してイライラしないように努力するんですけど、どうしても怒ったり、怒鳴ったりしているので、おばあちゃんからも「道ゆく人に、虐待って思われるよ」って。すごくいやな感じの仲の悪い嫁姑ではないんですけど、おばあちゃんから言われる一言でカチンときて、またイライラして人に当たってとかというのがあって……。
 “気をつけなきゃ”って思っていたんですけど、さっきの克児さん(故久保克児副会長)のVTRを見て、あっ、やっぱり、自分が人のせいにすると子どもも人のせいにするようになっちゃうから気をつけようと。そうは思っているんですけど、どうしても、やっぱり、何かあっても「あー、誰々のせいで」とかって言って、すぐ、おばあちゃんのせいにしたり、子どものせいにしたりする自分がすごくいるなって。
 その一方で、おばあちゃんは自分の食事も、自分のことも全部、自分でやってくれていますし、お庭の畑とかもおばあちゃんが全部やってくれているんです。で、私が子どもたちを怒ると、「ばあちゃん ばあちゃん」って言って、おばあちゃんに慰めてもらったり、私がバタバタしていれば、おばあちゃんが「ホットケーキ作ったよ」って言って、おやつをやってくれたり……。
 私の実家の母親は独りで千葉に住んでいるんですけど、実家の母親が来てもいやな顔一つせず、「よく来てくれましたね」と言って、歓迎してくれて、母同士も仲良くしてくれているんです。

 やっぱり、10年、11年、一緒に住んでいると、だんだん、お互いに言いたいことが言えるようになってくるので、カチンとくることもいっぱいあるんです。でも、おばあちゃんから言われることで、“あっ、そうだ。私、子どもに対してこういう態度なんだ。気をつけよう”って。思っているけど、やっぱり、できない自分がいるんですけど、人から言われると、そこで“制御しなきゃいけないんだな”って思わせてもらえています。
 二人の母が元気でいてくれるおかげで、子どもたちも「おばあちゃんに会える!」って言って大喜びしていて、イライラした言葉より、“感謝している”って気持ちの方を言葉にして、やっぱり、伝えて、優しい嫁になっていけたらなって。
 “言葉のつよさ”っていうのは、ものすごくて、相手に届く時には自分が思っている以上に、つよい言葉はつよく言っちゃうから、なるべく、自分で思っている以上に優しい言葉に変えて、伝えていけたら良いかなぁって思っています。
 このコロナに負けず、みんな長生きして、このまま元気にしあわせでね、続けていけたら良いかなぁって、すごく思っています。