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しあわせになってほしい
小谷康恵
私は美容師をしているんですけど、1時間ぐらいかけて、出張カットに行っているところがあるんですね。
家族全員、5人まとめてするので、1時間もかけて、こっちに来てもらうのが申し訳ないんで、「私が行きます」っていうことで、2ヶ月に1回ぐらいのペースで行かせてもらっているんですよね。
そしたら、去年のお正月に、50歳でご主人が亡くなられて、それを機に娘さんと今年、小学校1年になるお孫さんは別居っていうカタチで、おばあちゃん(「おばあちゃん」と言っても、私より若いんですけど……。)おばあちゃんと息子さん、娘さんとお孫さんっていう感じで、別れて暮らすことになったんです。

そしたら、なんか……、どういうんかなぁ?
今まで、娘さんがお母さんに対して、我慢していることが山ほどあったんだと思うんです。
この前、おばあちゃんから電話がかかってきて、「娘が来て、大声を出して、喚き散らして、震えて、震えて……」、1番に、私に電話をしてきたみたいなんです。その後、「ライン(LINE)」で、夜中の2時半ぐらいまでやりとりして、いろいろと話して……。
次の日も「まだ、ちょっと、ざわざわして落ち着かないから、会いたい」って言われたんで、1時間かけて行って、お話を聞いたんですよ。
その人とは、ずーっと、出張カットに行かせてもらったり、普段からも月に1、2回ぐらいはお茶を飲んだりする関係で、家族の話とかも聞かさせてもらっていて、私も全部、なんか知らんけど、その人には話せるんですよ。
父親のアルコール依存症とか、私は子どもがいなかったり、いろんな悩みがあったんですけど、私もありとあらゆることをその人には言える。その人も私に対して……、いろんな話を聞かせてもらう中で、今回、そういう事件が起きたんです。

で、もう、どうしたらいいのかわからず……。
2日後に小学校1年になるお孫さんの入学式があって、「行くことになっていたけど、こんな状態だったら行けない」って。娘さんも“もう、これで縁を切る”っていう感じで、鍵も置いて帰ったみたいで、本当にもう、断絶みたいな大げんかをしたんですね。
でも、ずーっと、私も話を聞かせてもらって、私はアドバイスができない。
子どもがいないし、孫もいないし、アドバイスはできないけど、やっぱり、私はこころの会でいろんな人の話を聞かせてもらったり、私も子どもの立場だったら、わかるという感じで、ずーっと、ラインのやりとりをしていました。

入学式の当日、おばあちゃんから「『おめでとう!』というラインを送れない、そういう“こころ”なんじゃ」って言ってきたけど、それは、「私はラインをした方がいいと思う。それは娘さんに対してじゃなくて、お孫さんに対して、『おめでとう』という気持ちは素直に言った方がいいと思う」とラインしたら……。
「やっちゃん、本当に、勇気を出してラインしたら、“ランドセルを背負った孫の写真”を娘が送ってきてくれた」と言って、娘さんが「お母さん、ちょっと、私も言い過ぎた」と。そこから、いろいろと親子の会話ができだしたんです。
それで、私、思ったんですよ。
なんとか、この家族がしあわせになってほしい!
“なんとか”っていう気持ちが起きたのは、それこそ、初めてです。
今まではうわべで、“なんか、よくなったら、いいなぁ”と、そんな感じだったんだけど、“こころ“から“しあわせになってほしい”と思ったのが初めてで、そういう気持ちになれたのは、今さっき、克児副会長(故久保克児副会長)の「やり直したいですか? この人生」っていう言葉がすごく刺さったんです。
私は本当に……、父親を……、“この父親じゃなかったら、もっと、しあわせになれている”っていうのを、ずっと、ずっと……、もう、ずーっと、思っていたんです。何回も“やり直したい”、“もう、親からして変えてほしい”と思ってたんです。
でも、この私は……、いろんな思いをして、本当に苦しかったり、辛かったり、そして、みなさんに支えてもらって、今、私がここに在って、もし、この私じゃなかったら、私の関わっている親友の話も“本当にしあわせになってもらいたいというこころで聞けなかったなぁ”って。今日の対談とか、克児副会長の話を聞いて、本当に思ったんです。
私が今、この私が在るのは、今まで本当に辛い思いをいっぱいしてきたけど、それがあっての“今の私”だから、お父さんに感謝までは、まだ、いかないですけど、“今の私”にしてもらえた、この家族、こころの会に対しても感謝ですし、そういう私だから、“他人(ひと)がしあわせになってほしい”って、“こころから思える私になれたのかなぁ”って。
今、すごく、私にとっては“もう、人生、やり直しはしなくていいな”って。“こころ”から思えて、これから本当に、“みんなと共に、しあわせになっていけたらいいな”って思っています。
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