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娘よ ありがとう
名幸すが子
 最近の話なんですけども、いつも、私は仕事で帰りが遅いので、息子が洗濯物を取り入れて、たたんで片付ける、お手伝いをしてもらっているんです。
 この間、私が休みで出かける時に、“雨が降りそうだから”と半乾きの洗濯物を部屋の中に干してあったら、息子は半乾きということを知らずに、たたんで、もう、片付けてあったんですよ。
 私が帰ってきて、それを見て、「えっ! 半乾きだったのに、洗濯物をたたんだの!」って。ワーワー言っていたら、娘が「お母さん、何でギャンギャン、ギャンギャン言うの?」って。
 「“良かれ”と思って、ちゃんと、たたんで、毎日、やっているのに。その行動を何で認めてあげないの?」、「『ありがとう。だけど、これ、半乾きだったのよ』とか、『また、干そうね』って、そういう言葉がでないの?」って。「相手を 潰してしまっているよね」っていう話になって、“あぁ、そうだ”って。

 “息子の「またやろう!」と思う気持ちをダウンさせちゃって、暗い気持ちにさせてしまったんだな”、“その蓄積? 私が今まで娘と息子にやってきてしまったしこりが大きいんだな”と、私は気づかせてもらったんです。
 娘とは離れて暮らしていたんだけども、最近、一緒に暮らすようになって、娘に言ったんですね。「私、分かんなかった。自分のそういう行動が見えなかった。ありがとう」って。
 息子にも「ごめんね」って。「私が違ったよね。ありがとうね」って。やっぱり、そういう言葉を伝える大切さに気づかせてもらったので、これから変えていこうと思うんです。

 もう一つ、今日の話です。パンをトーストして焼いたら、焦がしてしまったんですよ。私が「ワー、焦がしちゃった」って、大きな声で言っちゃって、その言葉を娘が聞いて、「お母さん、その言葉はやめて!」って。
 「お母さんが“イライラして、怒っている”、“怒られるのかなぁ?”、“機嫌が悪いのかなぁ?”って、また、気持ちが不安になる」って。「30歳過ぎても、そういう気持ちがとれない。とれていないんだ」って。
 私も仕事で、“あっ、ちょっとミスした”と思った時に、“言ったら、また、怒られるかなぁ? 黙っとこうかな?”と。すごく気持ちが不安になってしまって、“何で、私はこんなに不安になるんだろう?”と思った時に、“あっ、もしかして、 私も小さい頃からの母に怒られるという意識? そういう意識があるんだ”って。
 “私にもあったんだ”って、今、初めて気づいたんですよ。
 私も母から「お母ちゃんがとてもキツかった」っていう話を聞いたことあったので、“そういうものがあるんだなぁ”って。そこを娘と解決していこうと思っています。だから、娘がいて、今、娘が私に話をしてくれることが嬉しいんです。ありがたいんです。
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