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イイトコさがし
杉田敬子
 えーと、私はですね、“人に優しく”、あと“イイトコを探す”っていうところを目標に、いつも仕事に励んでいるわけなんですけど……。
 2年ほど前から新型コロナワクチンの集団接種のお仕事をしているんですけど、そこに雇われる看護師は派遣会社を通してなので、年齢も様々だし、職歴も様々、もう、本当にいろんな方が来られるんです。
 約2年やってきているので、本当にいろんな方に出会ってきているんですけど、ちょっと、二人のことを話させてもらうんですが、一人は多分70代ぐらいの方だと思うんです。休憩時間が終わっても、うつらうつらしちゃって、なんかコクコクやっちゃってて、しばらくすると、おっきな目覚まし時計が「コケコッコー」って。
 「あぁ、私、すぐ寝ちゃうもんで」と言って、「だから、これ、かけているんです」って。もう休憩が終わっているのにね。そういう状態で、一緒に働いている子は「もうやばいよね」って。「もう来ない方がいいよね」みたいな感じで話していたんですね。
 で、もう一人の看護師もとにかく、自分のことばっかり、ずーっと喋っていて、“もう、本当に、なにこの人!”っていうところがあったけど、“絶対、この人たちにもイイトコあるはずだ”と思っていたら、やっぱり、そういうところが見えてきたんです。

 休憩が終わってからも、ウトウトしちゃっている人に関しては、救急で点滴を取らなきゃいけなくなった方がいた時に、“えっ! 別人?”と思うぐらいにすっごい動きが良くて、サッサッサッと手際よく“血管確保”って言って、点滴を取ってくれたんです。“えっ!”と思って、“ほーら、やっぱり、必ず、イイトコがある”と。
 もう一人の自分のことばっかり、喋ったり、踏み込んできちゃう人は……。12月の終わり頃は、本当に、一日一人で300人ぐらいの人に接種したりっていう時期があって、とにかく、もう忙しいから早くまわすっていうことしかなくって。そしたら、その方の仕事ぶりを見ていたら、言葉は丁寧だし、手を動かしながら口も動かすから、やっぱり、スピードがあるんです。だから、“やっぱり、イイトコあった”って。

 なんか、人って、悪いところって、わりと目がいっちゃう。
 私も在家仏教こころの会に出合うまでは、初対面の第一印象で“この人、いい人、悪い人”みたいに、決めつけちゃっているところがあったけど、前にビデオで副会長(故久保克児副会長)の話を聞いて、私も本当にその人たちの見方が変わって、“自分のできないことができるっていうことは、やっぱり、尊敬できるな”って。
 そうなると、やっぱり、“もうちょっと、この人のことも知ってみたいなぁ”みたいな“こころ”がでてきて……。他の方でもそういうことがあったんだけど、やはり、その人の見方が変わって、爽やかに生きて、生きてっていうか、爽やかにその職場で仕事ができたので、“人に優しく”と“イイトコさがし”。
 “まわりからはダメだ!”って言われても、“ダメなところばっかりじゃない!”って。そこを、私はこころがけていきたいなぁと思います。
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