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明日…たのしい。
楠 知子
 私は今、コールセンターで、自社の製品の扱い方とか、いろんな不具合とか、そういったものをお電話で受ける仕事をしているんですけれども、穏やかにお話ししてくださる方もいれば、始めから喧嘩腰でクレームを言ってくるような方もいます。
 コールセンターでは、どなたからお電話がかかってきているのか、画面でわかるんですが、いつも強い口調でお電話をかけてくる方が何人かいるんです。で、私もある特定の人のお電話を受け取ることが、多かった時があったんですね。
 私も入って、まだ半年ぐらいの時だったんですけど、その時に受けて、最初からガーっと言われるので、“ワー”って。“怖い”っていう先入観で、“またこの人。文句を言う、怖い”って。“逃げたい”っていう気持ちで、お電話を受けていたことがあったんですね。

 そうすると、だんだんと、自分もモチベーションが下がってきて、“また、あの人からかかってくるんじゃないか? ”って。日曜日の夜とか、“もうホント、仕事に行きたくないな”という気持ちが、ちょっとずつ、出てくるようになって、そんな時に“あっ、これじゃ、いけないな”って。
 困っているからお電話をかけてこられていることに対して、それを答えられない自分がいるから、余計にガーっと言われるっていう、“あっ、そこだよなぁ”と。
 “自分がもっと調べて、その方がわかるようにご説明できるといいなぁ。そうしないといけないなぁ”と思って、ある時、資料を読んで、また、その方のお電話を受けた時に、「こうこう、こうなんです」とご説明した時に、初めて「ありがとう」という言葉をいただけたんですね。

 その時に“あー、そうか”って。

 自分が“怖い、怖い”と思っていたのは、自分に足りない部分があって、自信がないから、そういうこころがあったのであって、“向き合って、説明すれば、わかってもらえる”って。
 “これだな”って気づいた時に、ホント、今までは日曜日の夜って、“次の日、仕事だ”と思うと、すごく憂鬱で、“このまま、日曜日が続いてほしい”という思いだったんです。
 だけど、だんだんと、“明日、どんな人とお話しができるかなぁ? 出逢えるかなぁ?”って思うと、“明日がちょっと、たのしみだな”って。最近、そうやって、思えるような日々になりつつあります。
 これが続けられるように、少しでも、“こころのモチベーションを上げられるようにいければ、いいなぁ”と思う今日この頃です。
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