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間違えていいよ!
野々村カヨ子
 私はずーっと、保育、子どもさんを預かる仕事をさせてもらっています。で、学校を卒業して初めて就職した所では、今もそうですけど、本当になんにも知らない学生が入って来たわけです。
 私は、本当に箱入り娘やったので、もうわからないことだらけで、すぐにセンパイを捕まえて、「これ、どうしたらいいですか?」って。センパイの手を止めていたので、「今は忙しいから後にして!」とか、「もう、何回言ったらわかるの!」とか、ずっと言われていたんです。
 今でこそ、頑張らなくていい自分というか、“もうエエやん”と思える自分にだんだん、だんだん、なってきたんですが、それまでは、失敗するのはイヤ、間違うのはイヤ、笑われるのはイヤって、すごいプライドの塊やったんですね。

 でも、“間違えてもエエやん。これが自分や”と思えるようになってきて、“失敗していいんや”って。それで“失敗したら、ちゃんと「ごめんね」って言わなあかん”って。
 それは娘にもずっと言われていることなんですけど、「『ごめんね』と『ありがとう』をちゃんと言われへん大人は、どないなってんねん」、「お母さんやろ?」みたいなことをすごく言われて、反省するようになって、「そやなぁ。それがまず、基本やよなぁ」って。
 私、小さい子に教えているわりに、自分は「ごめんね」とか「ありがとう」って、まぁ、言えないです。「ごめんね」なんて、特に言えなかったんです。
 だけど、やってもらったら「ありがとう」が当たり前やし、言うてる手前、“自分がちゃんとせな”というのもあって、最近は“「ありがとう」って、言えるようにしよう”と思っているし、言っているつもりではいているんです。
 で、この4月に入って、1年生に送り出した子どもさんで、「学校がイヤや」と言う子がいて、その学校がイヤやという理由がやっぱり、“間違えたくない”、“失敗したくない”、“笑われたくない”っていうことやったんですね。

 それでまた、自分のちっちゃい時とか、今までのことを思い出さしてもらう機会もあったので、「学校は間違えて当たり前の場所や!」って、私は大きい声で言ってあげたいんですよね。今、間違えとかな、大人になったらもっと間違えたらあかんことって、出てくるじゃないですか。
 だから、「今の間に、いっぱい失敗しとき」って言ってあげたいんですけど、なかなか伝わらないし、私も今でこそ、そうやって言えるけど、二十歳前後の時は絶対そんな言われなかった。
 でも、今やから、歳を重ねてきたからかも知れないですけど、“失敗したら「ごめんね」って言ったらいいやん”って思えるようになって、そういうことをもっと! 今 、せっかく、子どもたちと関われる機会をもらえているんで、子どもたちには「今の間に、いっぱい失敗しときや」って。
 それで、「間違えたら、『ごめんね』って言ったらいいんやで」って。「素直に『ごめんね』って言いや」ということは伝えていきたいなと思っているし、私も素直に「ごめんね」「ありがとう」が言える“可愛いおばあちゃん”になっていきたいなぁって思っている、今日この頃です。
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