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自分で拓く“未来”
今北恵巳
 私ね、在家仏教こころの会で、「自ら未来を拓くつどい」が始まって、あのキャッチフレーズは“誰が考えてくれたんやろう?”と思うぐらい、自分には今、ものすごく支えになっています。
 自分で未来を拓いていくって、一寸先も未来なので、ちょっと先のことのために、自分がどういう行動をするか? どういう言葉を発するか? で、“自らの未来を拓く”ということを今、すごく実感している毎日を送っているんですね。

 去年、うちの旦那さんが町会の役を受けたことから、病気がわかったっていうか……。役を受けて、いろんな約束とか覚えておかなあかんことをすごく忘れるから、“ちょっとおかしいな”と思って、検査をすると初期の認知症とわかったんです。
 それから、一年以上が経つんですけど……。もともと私は旦那さんには言いたいことを言えて、スッキリしていたんです。いつも、私の言うことをずっと受け止めてくれていた人ですけど、そういう病気が出てから怒りっぽくなるし、“今まで我慢してたんやなぁ”って。で、この頃は、イヤなことは忘れる。それで、私が「それをなんでやってくれへん?」とか、「まだやってない!」って言うと、もう、すごく怒る。
 私は何でもかんでも言って、許してもらえていたので、ちょっとオロオロしているんです。それに、病気だから優しくするのはいいんだけど、“もう、ちょっとわからへんねんから”って、なんか、ちょっとバカにしてしまうようなところがあったんです。
 ところが、このゴールデンウィークに断捨離をしようと思って、片付けをしていたんですね。「請求書」とか「領収書」とか、「息子の塾の教材にこんだけかかった」って。で、それをいざとなったら、子どもに「あんたのために、あの時はこんだけ使って……」と。“そういう手段に置いておこう”みたいなことがあったんですけど、“もう必要ないわ”と思って、ビニール袋に2つぐらいを捨てたんです。
 それをやりながら、“あっ、これって、うちの旦那さんが一生懸命に働いて、自分の趣味にお金も使わず、子どもや私たちのために働いてくれて、もう、すごいことを旦那さんはしてくれてたんやなぁ”って。“旦那さんを大事にしよう”と思って、“もう、ゆっくりしてもらおう”と思ったら、自分のオロオロする“こころ”がすごく軽くなったんですよね。

 で、友だちにも声をかけて、「自分の未来を拓くんやで」って。「私は旦那さんがこういうふうになって、これから将来、どうなるかわからないけど、旦那さんに対して言う言葉とか自分の態度が自分の未来に関わっているから、“自ら未来を拓く”って言葉が今、私はこころの糧になっている」って。
 その友だちも今、旦那さんが大変な病気で、感染症が原因で片足を切断することになったんです。それで、その友だちもオロオロしていて、「車椅子の旦那さんを初めて見て、もう、瘦せ細って、骨と皮となっていて、髪の毛も抜けて、白髪になって、旦那さんとは思えないようなすごい姿を見て、もう“ドキッ!”とした」って。
 「だけども、そこで、旦那さんに『お父さん』って言って、孫の動画を即座に見せたら、旦那さんが“ニコッ!”として、元気に『また、検査、行ってくるわ!』と言って、行った」って。
 そういう話を聞いて、「よくできたね!」って。褒めたって言ったらヘンだけど、感心してね。そういうことがその場ですぐにできた友だちのことを讃えて、その友だちも「いや、今北さんが “自分の未来を拓く”って言ったから、私もそうしている」と言ってくれて……。
 お互いに、今まで夫婦してきて、突然、変わったわけなんですね。二人とも、もう大変なことだけど、「明日に向かってね、やって行く」っていう今日、明日を送っている現状です。
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