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“言わない”自分
久保川澄子
 最近、やっと気づいたというか。
 旦那さんとの付き合い方で、よその旦那さんはいろいろやってくれますよね、それが羨ましかったんです。
 でも、私がどうしても待っていられなくて、どんどんやっちゃうことが、まずいけなかったんだなっていうことと、「やって」と言わない自分がいたんだなって、最近、気づきました。
 なんていうことじゃないですよね。ただ言えばいいんだけど、言えない自分。
 それとずっと自分が戦ってきて、やっと、“ああ、そうなんだ。一言でも言えば、聞いてくれて、やってくれる”って。

 今回、入院なんかして、自分ができなくなったもので、ゴミ捨てからご飯の炊き方、洗濯、なんもわかんないから、「どうするだ?」と聞いてきて、「それはこうだよ」って言ったら、まぁ、やったわけですよね。で、“ああ、そういうことか”って。やっぱり、“言わない自分に責任があったんだな”って。
 相手ばっかり、“なんで、なんで”と責めていたのがやっと、“そういうことなんだ”と気づいて、バカみたいですよね、今頃になってね。
 でも、自分にとったら、“そんな簡単なことだったんだ”って、やっと、ひとつ気づけて、“ああ、良かった。気づけて、良かったな”って。そんな毎日で、“何事も恐れず、言ってみるもんだな”って。

 今までね、怖くて。別におっかい人じゃないんですよ。他人から見ると「優しい旦那さんだね」とか言われるんだけど、そんな簡単なことで気づけることによって、自分がラクになるんだなってことが今更ながらわかって。“あぁ、そういう簡単なことで気づけて、自分がラクになれる”って。
 生活する中で、“自分が気づけば、もっと自分がラクになることがあるんだ”という第一のヒントとして、わかれたことが私はすごく嬉しいなって思いました。
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