読む
Vol.149
ハイ! しあわせです
三枝松広さん
 私が(こころの会に)顔を出すようになって、60歳から顔をだして、今年で70歳になりましたのでね、10年になります。なぜ、顔をだすようになったのかっていうと、息子はね、前は同じ所で息子と働いていました。だけど、会社を辞めてしまいましてね、家でウロウロ、あっち行ったりこっち行ったりしておりました。
 それで、心配になって、“父親として、何がこの子にしてあげられるのか”と思って、顔を出すようにしようと出さしていただきました。昔から、息子とはあんまり関わってこなかったんです。自分が、自分勝手でね。ですから、息子は私に何を話していいか、わからないと思う。私も息子に何を話していいか、わからない。そういう状態で、ずっと、きました。
 だけど、今、息子は新しい所に就職しまして、それから少しずつ話すようになって、息子が会社から帰って来ると、「おかえり!」って言います。で、靴を揃える。それは父親として、若い時からやってこなかったから、自分で“やってあげよう”と思って、そういうふうにしております。私はね。
 あのう、たまぁにね、(息子が)豊明とか刈谷まで、「朝、乗せてってくれ」って言うんですよ。「そう、わかった」と言って、送っていくんです。けど、この前は“ちょっと、話をせないかん”と思って、息子は食事を、テレビを見ながら食事をしておりましてね、で、その後ろから「お父さんは今、こうして、朝、送って行くことがとても嬉しい。若い時にしてこなかったから」って。
 息子は自分の車があるのに、私の車に乗って行くんですね。で、もう10年近くなりますもんで、調子が悪くなって、新しい車をどうの、こうの言った時に、まぁ、短く言えば、息子が買ってくれました。それで、二人きりになった時に「お父さんに車を買ってくれるの?」って言ったら、黙っておりました。でも、「ありがとう。お父さん、70歳になって、こんなに嬉しいことはない。車を買ってくれたことじゃなくって、その気持ちが本当に嬉しい」って。“少しは良いお父さんになったのかなぁ”と思いながら、でも、まだまだ、溝はありますもんでね。
 昔ね、(息子が)生まれた時に、おふくろが「三代目で変わる」って言いました。で、“「三代目で変わる」だったら、俺は今のまんまでいいジャン”って、三代目で変わるんだもん。でも、最近、おふくろが何を言ったか。何を言いたかったのか、やっとわかった。三代目が変わるんじゃなくって、三代目である息子と俺が関わって、俺が変わることなんだって。そういうふうにやっと気がつかせていただいて、まぁ、こうして出るようになって、本当に良かったなぁと思っております。
 ねぇ、みなさん。私に何を言うか、わかるよね。私に「しあわせですか?」と聞いてください。大きな声で。
「しあわせですか?」。
「ハイ! しあわせです」。