No.80

息子の“こころの話”が聞けた!

埼玉県本庄市 堀口好彦(49歳)

 

 子どもが3人いて、今年、成人式を迎える三男がいます。その子が生まれてから自営で仕事を始めたので、関わりが少なく、関わりをもちたいと思っていました。“ここ何年かで関わりをもちたい”と思っていて、ちょっと余裕ができたので、自分から「専門学校に通う2年間、駅まで車で送り迎えをしてあげるよ」と言いました。

 「オヤジは三男に甘い」と言われたんですが、“三男のこころがどういう思いでいるのかが聞きたい”ということが目的だったので、その2年の間に“どうにか聞くことができないか”と思っていました。

 小学校2年生の時だったと思いますが、子どもは通学班6人で登校していたんですが、冬の寒い時期で道が凍っていて、タクシーが滑って突っ込んで来てしまったことがあったんです。友達2人が重傷に合い、救急車で運ばれていくのを子どもは目の前で見ていたので、「学校へ行くのが怖い。外に出るのが怖い」と言っていました。

 子どもが中学の時に「事故の話、また、その友達の話は絶対しないでくれ。それをされると家から出られなくなってしまう」と言われ、“中学になってもまだ引きずっているのか”と、心配でした。でも、“その思いは今、どうなっているんだろう? どうにかして、今の思いを聞きたいなぁ”と思っていました。

  子どもが専門学校に通い始め、自分なりのやり方で一生懸命に話しかけましたが、どうしても、「おはよう」と「ただいま」、「行ってきます」しか言ってもらえず、1年間はそのまま過ごしました。

 だけど、去年の5月、6月頃に孫の話をしたんです。「孫を早くみたいなぁ」と言ったら、子どもは「オレには期待するな。オレは結婚できないから」と言ったんです。「結婚しないんじゃなくて、できないの?」と聞いたら、「家族をもったとしても、どこも連れて行くことができない。乗り物に乗ることができないんだ」って。でも、子どもはいつも渋谷まで2時間かけて、電車で通っているんです。
 だから、「毎日、電車に乗っているじゃん」と言ったら、「ゲームしたり、目をつぶって寝たフリをしたり、携帯いじくったりして、電車に乗っているんだけど、自分の“こころ”の中では、電車に乗ってないことにしている」と、語り始めたんです。

 車に乗る時も絶対、助手席には乗らないで必ず後ろに乗っていて、ゲームをするか目をつぶっているような子だったんです。だから、“そこまで引きずって、そこから抜け出せなく、そこまで考えていたんだ……”って。

 自分が20歳ぐらいの時はどうだったかといえば、どうやったら、自分はしあわせな結婚ができるのかな? どういう人と結婚したら、自分はしあわせになれるのかな? と、自分のことばっかりを考えていました。“数打ちゃ当たるだろう?”と片っ端から目につく女性に声をかけて、なんとか当たるかな? ということしか考えていなかったんです。

 だけど、子どもはその真逆なんです。“自分と真逆なんだ。20歳ぐらいって、そういうことを考えているのが普通だと思っていたけど、そうじゃないんだ”って。

 そして、子どもの話を聞いて、自分からでた言葉が「ありがとう」だったんです。“なんで、ありがとう!?”と思ったんですが、子どもの今の気持ちを聞きたかったので、自然と「ありがとう」がでました。それで、次にでた言葉が「今の思いが聞けて、うれしいよ」って。「でも、もし、好きな人ができたら、そういう話ができる人と結婚できたらいいのにね」って。

 その後、「結婚とは何なんだろうね?」と言ったら、子どもが「あー、お父さんとお母さんは結構、話をしているね」って。それで、「俺は飾らずに自分のことを受け入れてくれて、話ができるお母さん(妻)と今はこうやっていろいろと話しているけど、もし、お前がそういう気持ちになれるんだったら、その話を結婚したいなと思う人に話してみたら」と言ったら、子どもが急に明るくなって、「オヤジが初めて、親らしいことを言ってくれた」と褒めてくれたんです。

 本当に親と思われてなかったものですから、すごくうれしくなって、“あぁ、親らしいこと言えた”と家に帰って妻に言ったら、妻も泣きながら「嬉しい、嬉しい」って、「息子の思いが聞けて嬉しかった」と言ってくれて、自分的にやっと目的が達成できたなって。



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