No.48

正直に気持ちを語る大切さ

静岡県浜松市 寺田裕美(44歳)

 

私は七年前に離婚をして、今年、高校一年生になる息子がおります。その息子が中一頃から反抗期が始まりました。父親がそばにいない寂しさから、怒ると壁に穴を開けたり、自分の机を壊したりするんです。どうにもならない思いを力でぶつけてきて、私は“なんで物に当たるんだ? なんで物を大事にしないんだ!”という思いと、“何を考えているの? 言ってちょうだい!”という思いから、私は息子と正面から向き合いました。

それで、「言いたいことがあったら、言葉で言いなさいよ!」「家族だって、考えていることは言ってくれないとわからない!」と勢いでワァーと言いました。そしたら、息子が私の胸倉をグッとつかみ、手を振り上げました。私は“殴られる”と思った瞬間、“もう殴られてもいい”って。原因は“私たちの離婚”と察しはついていたので、「なんでも言って」と言うと、息子は上げた手を振り戻し、また自分の机をガシャンドンドンとしばらく睨み合いが続きました。

でも、私が「言ってもらわないとわからない。間違っていることがあったら言ってちょうだい」と言ったら、息子は私の目を見つめて、涙を流しながら、「本当のことを言って」って。「俺、何で離婚したか、聞いてないんだ。何も言ってくれなかった。納得できない」と言うので、私は自分の感情を交えずにただあったことを話しました。そしたら、息子は「お父さんもお母さんも大変だったんだね」って。
それから毎晩のように、息子が今まで思っていた話を聞かせてくれて、私は納得いくまで聞こうと思い、息子は最後に「殺してしまいたいほど、恨んだ」と。私は「そんな思いだったんだね、わるかったね」と言い、今、息子は鼻歌を歌いながら起きてくる高校生活が始まっています。

息子も自分の思いを言うと、“親に悪いかな、傷つけるかな”と我慢してきた。でも、正面から正直にぶつけてくれたことで、傷ついてきた息子の気持ちを知り、私も親として別れた夫とも何度か話をしながら、親というものを考えさせられました。
今、別れた夫と「これから、一緒に住めるといいね」という話が進んでいる段階です。そういう話になったのもやっぱり、子供のことが一番です。別れた夫も母子家庭で父親がそばにいなかったので、子供の気持ちがすごくわかるんです。離婚後、別れた夫は実家に帰っていたんですが、浜松に戻ってきて「自分のできることは手伝う」と言ってくれたんです。
でも、私もわがままなところがあり、なかなか気持ちの切り替えができなかったんです。だけど、子供を介して会う間に、子供は父親がそばにいることを一番願っているとわかりました。

私は「お茶の間的集い」ということで、浜松の全国こころの会に参加しています。そこで、息子の気持ちは男性じゃないとわからないので、みなさんに行くたびに話を聞いていただいていました。やっぱり一人で考えて、“こうかもしれない”だと間違っちゃうと思うんです。でも、全国こころの会では、人の話を聞き、自分も語って、いろんな意見も聞けることがすばらしいと思います。
私は家族で、しあわせになることが最終目的です。これからしあわせに向かって、自分を見つめながら、正直に気持ちをぶつけ合い、本当の意味で仲良くなっていきたいです。

(大きな乗りもの 2010年7月号)

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ΩΩΩ

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