No.46

子供が教えてくれたこと

高知県 恒石真理(33歳)

 

中学校の養護教諭で保健室の先生をしています。その中学校に移り三年目になるんですが、そこの校長先生が「あれもいかん」「これもいかん」とすごく怒る校長先生だったんです。
私が一生懸命やったことも空回りして“何で、私ばっかり”という日々で、“笑うことって、どういうことって?”って。保健室にはケガや病気だけじゃなく、いろんなことを抱えている子供が来るんですが、子供とも向き合えず、優しくなれない自分にも気づけていない自分がいたんです。

そんなある日、いつも毎時間のように来る子供が「しんどい、もう帰りたい」と言って、来たんです。でも、私は“仕事があるのに、また来た”としか思えず、「帰りたい」と言うので、「帰ったら」と追い返すように言ったんです。そしたら、「帰るわ」と怒って出ていった。“仕事ができる、よかった”と一瞬思ったけど、“もし、事故とかにあって……”と考えたら、こんな気持ちのままでいいんだろうか!? って。もし、その子とこのまま会えなくなったら、自分で“これでよかったと思えるのかな?”と思ったんです。
すごく困ってしまったんですが、校長先生に言うと“怒られる”と萎縮している自分もいたんです。でも、“一人で抱え込んで言わないわけにはいかない”と思って、校長先生に「実は……」と言ったら、「そうか」「そうか」と話をただ聞いてくれたんです。その時に、“もしかしたら、保健室に来たあの子も聞いてほしい思いがあったのかな?”って、反省させられたんです。その子は無事に帰っていたんですが、「悪かったね」と謝り、目の前の仕事だけじゃなく、子供とこころで向き合っていこう、話を聞いていこうって。

子供の話をただ聞いていく中で、子供の“こっちを向いて”という思いに気づけたんです。このことをきっかけに、私も“校長先生に何でも話そう”と思い、相談するようになったら、自分一人で頑張りすぎていたかなって。また、校長先生も厳しいことを言っていたけど、立場的にそうとしか言えなかったんだということにも気づけたんです。
そして、二年目になったら、校長先生も「こんなことがあって」と話をしてくださって、「君と話をしたら、ちょっと元気になる」というようなことも言ってもらえるようになってきたんです。校長先生にそう言われると、私も元気になって子供と向き合えて、子供も元気になっていく。きっかけはやっぱり、子供が教えてくれた。

日々、いろんな子供と関わる中で、子供とこころで向き合うと子供はすぐに元気になる。また落ち込んでも、「先生に会いに来ると気持ちが軽くなる」と言って、来てくれる。“共に育つ”を語る会で話を聞いてくれる仲間がいるから“あっ、そうか”と気づけるので、話すことも聞くことも大事だなって。そして、一人で抱え込んだらいけないなと思います。

(大きな乗りもの 2010年7月号)

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