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えっ!オレ?
野口孝儀
 私、孫がいまして、今、幼稚園に行っているんです。だけども、ちょっと、幼稚園から離れたところに息子夫婦は住んでいて、幼稚園は私の家の近くにあります。
 それで、バスでいつも送ってくれるので、うちで孫を預かって、うちで遊ばせて、それから、女房が送って行くことになって、毎日やっています。
 その中で、孫との関わりあいなんですけども、孫はものすごく気がきいて、私が薬を飲んでいて、粉薬をこぼすと、ちゃんと雑巾を持って来て、全部、拭いてくれるんです。「なんで、ジイジはこぼすんだろうね?」って言いながら拭いてくれる、そういう子なんです。

 ただ、欠点がありまして、なんか粗相をしても絶対に謝んないってことなんです。
 それを女房に「なんで、謝んないんだろうね?」って言ったら、「お父さん、よく似てますよ!」って。「あなたも、なんかやっても謝りませんね!」って言われたんですよ。
 「いや、私は“こころの中”で思っているんだよ」と。「でも、“こころの中”じゃ、人には通じません。やっぱり、そういうふうに孫の姿を見た時に、自分もよく考えて、戒めた方がいいんじゃないですか?」って、逆に言われたんですよね。

 で、「世間じゃ、結構“いい野口さん”で、百人が百人とも“いい人ですね”って言うんだよ」って言ったら、「でも、それはね、外だけども、家の中でやってくんないと、私たちも気分悪いわ」と言われたんですよ。
 “ああ、なるほどな”って。やっぱり、孫がこういうふうに、姿を見せて、謝んないって自分が思った時に、やっぱり、それを気がつかせてもらった孫に対して、“「ありがとう」と言ったほうがいいかな”と。
 確かに、私の悪い点は、“謝んない”っていうのがあります。
 でも、それをね、孫の姿を見て、“あっ!なるほどな”と思いました。いい勉強させていただきました。ありがとうございました!
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